おうし座パパの子育てエッセイ

5人の子どもを育てたパパのこころ温まる記録

シール集め

 人は昔からきれいな物や珍しい物を集める習性があるらしい。私も独身時代、きれいな図柄のコーヒーカップティーセットを集めていたこともあった。また小学生の頃、切手を集めていたこともあった。

 私の娘たちも小学生の頃、シールを集めていたことがあった。花や動物や果物などの様々な絵柄のかわいいシールだ。それも長女と次女が同時期に集めていた。次女というものは、長女にライバル意識を持つようで、競うように集めていたようにおもう。

 ある日、2人は一つのシールの取り合いになった。次女のシールを長女が取ってしまったようだ。そして次女は「もう!Mちゃんのバカ!・・・もうだ~いきらい」と捨てセリフを吐いた。その言い方がとてもおもしろく、つい笑ってしまった。最初の「バカ」までは声が大きく、その後のことばは低音でボソッと言うのである。

 それを見ていて私は考えた。シールじゃなければいけないのか?きれいな切手でもよくないか?そして、私は切手集めについて2人に教えた。まず、家にある郵便封筒を数枚出してきた。それはどこからか送られてきた封筒だ。そこに貼られているきれいな切手をハサミで切り抜いた。そしてそれらをお皿の上に数枚おいた。次にお湯を沸かし、そのお皿に注ぎしばらく放置した。娘たちは不思議そうに見ていた。しばらくすると糊が溶けて切手が封筒の紙から剥がれるのである。それをきれいな布の上に置いてしばらく乾かし、2人に渡したのである。その切手はその後2人のコレクションに加えられた。それから二人はシールを取り合うことはなくなった。
 
 それから20数年経ったある日、次女はこの切手を剥がす技を職場でやったらしく「そんなこと出来るの?」と感心されたそうである。私も最近送られてきた郵便物にきれいな切手を見つけては切り抜いて机の隅にしまってある。そして、また切手を集めようかと密かに思っているのである。