おうし座パパの子育てエッセイ

5人の子どもを育てたパパのこころ温まる記録

真綿のように

 第1子誕生より5日目、退院の日が来た。友人より車を借りて妻と娘がまつ病院へ向かった。生まれたばかりの子を電車やバスなどの公共交通機関で移動させる訳にはいかなかった。当時、自分の車をもっていなかったので運転するのは久しぶりだった。しかし病院への道のりはルンルン気分でついついスピードを出してしまった。

 病院のロビーで私を待っていた妻は玄関の外で初めて私に娘を手渡した。白いおくるみに包まれた我が子を抱いた瞬間、不思議な気分が私を包んだ。想像していたよりも軽く、ふわっとした感じである。まるで白い真綿を手渡された感じだった。ちょうど日陰から日向に移り太陽の光で眩しそうに目をつぶった。目も鼻も指もすべてがとても小さい。そんな娘を見ていると、何よりも大切な宝物を神様から託されたような不思議な気持ちになった。この子はどんな人生を歩むんだろう。この子の体の中にどんな才能が隠されているんだろう。そんな思いをもって我が子を見ている自分がいた。

 帰り道は自分でも信じられないくらい慎重に車を走らせ帰宅した。3人家族としての新しい生活が始まったのだった。