おうし座パパの子育てエッセイ

5人の子どもを育てたパパのこころ温まる記録

一汁三菜

 私の妻は看護師である。仕事で夜勤の日が月に数回あった。夕方仕事へ出かけ翌日午前中に帰宅するのである。そんな勤務のときは、夫である私が夕飯をつくり、子たちに食べさせるのである。私の料理は妻ほどおいしくはないし、レパートリーも少ない。私がよく作るものは、カレーライス、スパゲティー、親子丼、チャーハンとタコライスなどである。

 以前、大晦日やお正月に夜勤のときもあった。妻がつくるお雑煮を思い出しながら、ゴボウを細かく切り落とし、椎茸と鶏肉を小さく切って、出汁をとり、焼いたお餅をお椀に入れ、その上に梅の形にくり抜き甘く煮た人参と柔らく茹でた、ほうれん草と三つ葉を載せてお雑煮を完成させた。また、買ってきた栗きんとんや黒豆、伊達巻や紅白のかまぼこなどを漆黒の扇の形をしたお皿に盛りつけた。紅白のかまぼこは、包丁をいれて可愛いうさぎの形にした。* 思いのほか上手にできたので、ラインで妻や嫁いだ娘たちに画像を送ったりしたこともあった。

 平成25年、和食が日本人の伝統的な食文化として、ユネスコ無形文化遺産に登録されたとニュースが流れた。その夜「よし、今日の夕食は和食にしよう」と私は一汁三菜を作った。わかめとお豆腐の味噌汁、鮭の焼きもの、鶏と大根の煮物そして鰹節を載せたほうれん草のおひたしである。それぞれ綺麗な和食器を使い、それらを子どもたちの前に並べ、一汁三菜の意味も説明した。これに娘たちは大変感動したようだ。今までのような、大きいお皿に盛りつけられたおかずをみんなで取り合うのではなく、子どもたちそれぞれに小鉢や魚用のお皿が目の前にあるのだ。雅な和食の良さを感じてもらえて、親としてとても嬉しかった。

 しかし、食後あることに気づいた。使った食器の量がいつもの倍あったのだ。そのため、食洗器で洗うのに1回で終わらず、2回に分けて洗うことになったのである。作るにも、片づけるにも和食は手間がかかるのである。

* かまぼこうさぎ: ネットで検索すると画像が出てきます。お薦めします。