おうし座パパの子育てエッセイ

5人の子どもを育てたパパのこころ温まる記録

泣いた赤鬼

 次女が小学校低学年の頃だった。娘たちと何かの話をしているとき、「泣いた赤鬼」の話になった。ところが次女は、この話を知らなかった。誰でも知っている、この昔話を知らなかったので、親として今までこの話の絵本さえも見せたことがなかったんだな~と、少々反省の気持ちも湧いてきた。そこで私は、「泣いた赤鬼」の話をはじめから話して聞かせた。

 すると驚いたことに、話し終わると次女は、「そんな。青鬼が可哀そうだよ~」と言いながら泣き出してしまった。よっぽど私の話が上手かったのか、彼女の想像力が豊かだったからなのか分からないが、しばらく泣いていた。

 絵本の絵を見せながら話した訳でもなく、ただ私の話だけで泣き出すなんて、この子は頭の中でその話の場面をイメージして映像化していたのだろう。本当にこの子は優しい子だなと、感心してしまった。将来、絵本作家になりたいと、その頃言っていたので、その素質を持っていたのかもしれない。