笑顔を見せる大切さ

　私は第１子を授かった娘にラインで「子どもに母親の笑顔をたくさん見せてあげなさい。」とメッセージを送った。このメッセージは私が見た、強烈な体験が元になっている。それは、以前テレビでみた、ある報道である。

　もう何年も前のことである。東ヨーロッパのある小さな国の病院だった。その病院はエイズ患者が出産した赤ちゃんを収容している病院だった。母親はすでにこの世にいないのか、看護師が世話をしていた。この病院では子どもを抱っこすることも、微笑むことも許されていない。情が移ってしまうというのが理由らしい。
そのため、ベッドから立ち上がってカメラを見ていた２歳くらいの男の子は、にこりともしない。無表情なのである。今でもその光景をはっきり覚えている。そばにいる看護師も、にこりともしない。無表情なのである。まるで魂をぬかれたような、感情のない人間のようにも見えた。とても恐ろしい光景だった。

　笑顔は親子の間だけでなく、人と人との大切なコミュニケーション手段であり、愛情表現だと思う。たとえ言葉をかわさなくても、相手の笑顔で温かい気持ちになれる。そして、どんなに辛いときでも、笑顔を忘れなければ乗り越えられる。私はそう思う。