おうし座パパの子育てエッセイ

5人の子どもを育てたパパのこころ温まる記録

歯形

 ある日、四女が私のところへ来て泣きながら訴えた。 「〇〇に噛まれた!」〇〇というのは三女のことである。見ると左腕の手首のあたりに噛まれた跡がある。姉妹(きょうだい)喧嘩はよくあることだ。しかし噛みつくのは良くない。私はすぐに三女を呼びつけ叱った。ところが彼女は「え?」と返事をして、きょとんとしている。わたし知らないよという顔をしているのだ。「謝りなさい」と私が言うと「ごめん」と素直に謝ったのでそれで良しとした。この出来事は今から18年前のことで、2人とも小学校低学年の頃である。

 ところが、最近四女がこのときの喧嘩を思い出して私に笑いながら話をした。事の次第はこうである。2人は喧嘩をしたが、三女は噛みついてはいなかった。軽く噛みつく真似をしただけだそうだ。その後四女は自分で自分の腕に噛みついて、歯形を付け泣きまねをして私のところへ来たそうだ。三女の「え?」といった顔を今でも覚えている。思い返せば2人の話をもっとよく聞いてあげればよかったが、私はまんまと四女の策略にはまったのであった。

 この事実を三女はまだ知らない。きっとこのブログを読んで喧嘩のことを思い出すかもしれない。ごめんね。